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Sociologically Technological, and Technologically Sociological

朝型人間に擬態するためにやっていること

親譲りでない夜型人間で小供の時から損ばかりしている。
―― 夏目漱石『夜型人間ちゃん』

夜型人間 Advent Calendar 2019 1日目の記事です。

2年ほど前にフルタイムワーカーを始めてからというもの、自分なりに色々と試行錯誤しながら、朝型人間に「擬態」する術を身につけてきました。

自分は根っからの「夜型人間」だと自認しており、修士課程の時に概日リズムをぶっ壊してからも、いまだに朝は自分の時間ではないと思っています。作業が捗り、良いアイデアが降ってくるのは大抵22時以降です。

wired.jp

最近、「夜型か朝型かはゲノムレベルで規定されており、この違いを努力でカバーすることは困難である」という趣旨の記事が話題になりました。この知見に関する妥当性は、専門外のため保留させていただきますが、「朝型人間と夜型人間の共存」についての議論のきっかけになることを願っています。

しかし、規範や制度が急速に変わることは稀です。生活リズムというテーマに関しても、明日いきなり社会の寛容度が向上することは、おそらく見込めないでしょう。さしあたり個人の幸福にとって重要なのは、「どうすれば朝型の社会をやり過ごすことができるか」です。この記事では、「環境構築」を中心に、自分が朝型人間に「擬態」するために導入したガジェットや、普段実践している生活習慣を紹介します。

といっても、人類はみな朝型人間か夜型人間のどちらかというわけではなく、両極の間のスペクトラムだとは思いますし、僕以上に深刻な夜型の方もいらっしゃることでしょう。場合によっては、医療機関への相談のほうが近道かもしれません。

それに、僕自身がこの記事で紹介することを実践しながらも少なくとも月に1,2回「やらかして」いるので、話半分に読んでいただけると幸いです。専門的な見地からみて間違っていることがあればご指摘ください。

この記事を通して、「いつも遅刻してくるあいつ」も実は頑張っているかもしれないですよ、ということが伝えられたらよいと思っています。

環境構築

朝型人間への擬態をする上での僕の基本戦略は「環境の改変」です。夜型人間なら誰しも、朝に起きたいと思っても起きられない朝をいくつも経験したことでしょう。眠る前の自分はあまりに楽天家で、寝覚めの瞬間の自分は、私たちが想像するよりも遥かに狡猾です。自分の意思ほど信頼できないものはありません。

環境の中には、寝具や耳栓のように入眠確率を上げる類のものと、目覚ましのように起床確率を上げる類のものがあると思っています。

寝具

博士課程に入りたての頃、祈るようにしてマニフレックスマットレスと枕を購入しました。当時としてはかなり思い切った判断でした。東急ハンズの寝具売り場を足繁く通っていた記憶があります。長い間すのこベッドに薄い敷ふとんを敷いて寝ていたのですが、睡眠環境は見違えるように変化しました。マットレスも枕も肉厚なため、体重85kg超えの自分でも底に身体が当たることはなく、非常に快適です。他のメーカーも試しましたが、最終的には厚みで選んだ形です。この投資は非常に効果があり、「なんか固くて寝にくいな…」という入眠時の思考のノイズを減らせた気がします。

最近は、パラマウントベッドが販売しているActive Sleepというベッド+マットレスが気になっていますが、いかんせん高価なので手が出ませんね…。

activesleep.jp

耳栓

耳栓も、入眠確率を上げるための重要なツールです。僕は人の声や環境音が気になって眠れなくなるタイプなので、耳栓はほぼ必須です。AmazonでMOLDEXの耳栓が200ペアまとめ買いできるので、これを定期的に購入しています。

耳栓をすると目覚ましの音が聞こえないのではないかと思われるかもしれませんが、自分の場合は寝返りのせいか、朝起きたときには外れていることが多く、そこまで起床の妨げにはなっていません。もちろん個人差あり、起床確率が下がる方向に作用する方もいらっしゃると思うので、注意してください。

目覚まし

続いては起床確率を上げるための目覚ましシステムです。普段使いしているのは5つです。音・光・振動の感覚複合的なアプローチを採用しています。

  • デジタル目覚まし時計

    • 普通のデジタル時計です。もう10年くらい使っていますね。
  • スマートフォンのアラーム

    • LGV30+デフォルトのアラームアプリです。
  • スマホのSleepCycle

    • マイクで睡眠中の寝返りの音などを拾って、睡眠の浅い時に起こしてくれるアプリです。
    • これを導入してからは本当に高確率で起きられるようになりました。
    • 過去の睡眠の傾向を分析してくれるアナリティクス機能(有料)は使用していません。

Sleep Cycle: スマートアラーム目覚まし時計

Sleep Cycle: スマートアラーム目覚まし時計

  • Sleep Cycle AB
  • ヘルスケア/フィットネス
  • 無料
apps.apple.com

  • 簡易的な光目覚まし
    • スイッチを押してくれるIoTデバイスSwitchBotを利用して、朝8時に部屋の照明がつくように設定しています。
    • 室内照明だけで十分効果的を感じています。
      • intiのようなとても強力な光目覚ましもありますが、試したことはないです。
    • 部屋の照明を使うという観点では、Philips HueやNature Remoでも思います。

Nature スマートリモコン Nature Remo mini Remo-2W1

Nature スマートリモコン Nature Remo mini Remo-2W1

  • HuaweiBand
    • スマートウォッチの一種です、アラーム機能が優秀です。
    • 寝返りを記録して、睡眠の浅い時にバイブレーションで起こしてくれます。
    • Apple WatchやFitBitでも同様の機能があるかと思います。

  • その他
    • 早朝にフライトがある時など、どうしても起きなければいけない場合は、ここにもう一つタブレットのアラームアプリを足しています。
    • 一時期はBose Sleepbudsを愛用していたのですが、バッテリーの不具合が出て以降は使うのをやめてしまいました。個人的には最高のガジェットだったのですが…。

生活習慣

環境の改変ではないですが、普段の生活習慣については、該日リズムを壊した時に医者から勧められたことを実践し続けています。つくづく「入眠・起床の確率を上げるための戦いは、日中から既に始まっている」ということに尽きます。

  • 19時以降にカフェインを摂取しない。お茶も飲まない。
    • カフェインの半減期は4-6時間のようです。24時過ぎに就寝することを目標としているので、そこから逆算しています。

e-heartclinic.com

  • 23時を過ぎたらPCを見ない。
    • 「アイデアを思いつくのは決まって深夜問題」がありますが、最近では楽しいアイデアを思いたら、どこかにメモしておいて、とりあえず眠るようになりました。
    • それでも夜にPCを触らなければいけない時のために、f.luxなどを常にオンにしておき、モニターの輝度を抑えています。

justgetflux.com

  • 運動する

    • 週2回にジム、毎日1万歩歩くことを目標としています。
      • 普通に通勤するだけだと6000歩ほどですが、帰宅時にたまに1駅前で降りたりしています。
        • HuaweiBandは1万歩を超えると知らせてくれます。
    • リングフィットアドベンチャーやフィットボクシングでもよいですね。神ゲーの登場以降ほとんどジムに行っていません。
    • 一方で、遅い時間の運動はむしろ起床確率を下げる気もします。
  • 休日に寝溜めをしない。

    • こればっかりは環境でどうこうできる問題ではないような気もしますが、休日の朝に楽しい予定を入れておくと、リズムが保ちやすいのではないかと思っています。何より、寝すぎると偏頭痛がつらいです。
      • 自分の場合は最近マイブームの水族館や野鳥撮影が大きなインセンティブになっています。
    • 大型連休は、睡眠リズムが壊れやすいので天敵です…。

以上、根っからの夜型人間の僕が朝型人間に擬態するためにやっていることを紹介してきました。 前述したとおり、これだけやってもうまく眠れなかったり朝起きられないこともありますが、「なんとかやれる」水準まで持って行けている気がしています。毎日、夜に眠気が来るとホッとします。

皆さまの朝型人間への擬態も、うまくいくようにお祈りしています。

"Thanks God I'm Falling asleep!"